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「 友達 」

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友達

2011.05.05 Thursday 00:05

ノックノック。
現代な感じの久々知と竹谷。
内容は鉢屋←久々知何だけど、いつもの両片思いな感じがします。
私の中で三郎は何故か、現代になると途端にチャラ男になるんだけど何で(聞かれても)。

携帯で書くと時々半角スペースが入るのが気になります。原因が分からん。

友情という言葉は何とも綺麗であり便利な言葉である。

先日、友人に恋人ができた。性格がねじ曲がっている彼にとっては随分と出来た恋人だった。彼女の方から熱烈なアタックをして来たらしく、ならお試しでと彼 が折れたのだと言う。三郎のくせに生意気な、と実年齢と恋人のいない期間が一致する八左ヱ門が随分と悔しそうに言っていた。

「お前は悔しくないのかよ」

どうにか兵助をそちら側へ引きずり込もうと画策する八左ヱ門に、兵助は手元の参考書から視線を上げることなく答える。

「興味ない」
「これが経験者の余裕かよ」

小さく呻きながら、八左ヱ門は項垂れた。彼女に恵まれないこの男は、何故か友の色恋にはとても興味を示す。お前はどこぞの女子高生か、と三郎が半眼になって言っていた。

「でも、三郎も大概取っ替え引っ替えやってるよな」

羨ましい限りだ、という友人の心の声が聞こえたような気がした。彼の言う通り、三郎の交際歴は実に輝かしいものである。それこそ、一度やったら別れる、と 囁かれるほどに。しかし女の子の方もそれを分かっているのか、一度ヤったら終わりで自ら去って行く者もいるらしい。別れた後もセフレとして関係を持ってい る、という話も聞くほどだ。
けれど、兵助にとってそんなことはどうでもよかった。三郎は友人で、間違ってもおかしな関係を持つことはない。
実際のところ兵助は三郎に対して友人以上の感情を抱いてはいたけれど、現在の関係以上を望むことはなかった。望んだところで叶うわけがない。あの遊び人が 自分なんぞに目をくれるわけがない。あまつさえ自分は男なのだから。
一昔前よりは同性同士の恋愛に対する認識は柔らかくなったと言うけれど、それでも一度 胸中を暴露してしまえば壊れてしまう関係だってある。少なからず。ならばこれでいい。友人という関係は実に気楽で心地好いものなのだ。

「そういや、今度の彼女知ってるか?隣のクラスの子なんだけどさ」
「知らない」

興味もない。けれどそういう話題には仲間内で一番敏感な男は、楽しそうに話を続ける。先程まで妬んでいたくせに。

「長い黒髪がスッゴい綺麗な色白の美人なんだぜ。あ、兵助とちょっと雰囲気似てるかも」

お前も髪長いし、と髪を指差され兵助は思わず渋面を作った。

「何それはっちゃん、気持ち悪い」
「おお、悪ぃ悪ぃ」
「……まったく」

本当に悪気がないのだから扱いづらいのだ、この男は。
兵助はようやく参考書から顔をあげると、結わえていた髪をちょいと掴み、更に顔をしかめた。


翌日、髪を切った。
思えば何であそこまで伸ばしていたのだろう。切るのが面倒だったから?それともあの髪型に何か思い入れがあっただろうか?今のところ心当たりはないのだけれど。

「え、何それお前」

朝の学校。教室に入ろうと扉に手をかけたら、すぐ傍から聞き慣れた声が聞こえた。いつもより遥かに不機嫌そうではあるけれど。兵助がそちらに向き直ると、やはり三郎は苦々しい顔をしてその場に佇んでいた。

「おはよう、三郎」
「おはよう……ではなくて、え、なにお前、髪切ったの?」
「ああ。邪魔だったし、これから暑くなるからな」
「へぇそー…………似合ってたのに」

自分で話題を振ってきておきながら、三郎の相槌は正しく心ここにあらず。元々変わった奴なので、と大して気にせず扉を開ける。

「髪型ひとつで随分印象変わるもんだな」
「まぁ、かなり切ったからな」
「………」

どこか釈然としない様子の三郎に肩を竦め、そのまま教室へと足を踏み入れた。この数刻の後、三郎が電撃離婚したと八左ヱ門が大慌てて乗り込んでくることになる。
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