2011.04.28 Thursday 22:47
百本ノックのやつ。
鉢→←久々な感じ。両片思いの悲恋。微妙に転生パロ。
超短いです。
特別な理由なんてなかった。気づいたら好きになっていてだからそれでいいと思った。けれどどれだけ好きだと伝えても信じてもらえない。笑われたり時には怒 られたりして、全然信じてもらえない。あまりにも信じないものだから、どうして信じないのかと問い詰めたら、いつもより語気荒く苛々した様子で、だっ てありえないじゃないか!と怒鳴り付けられた。お前はあいつが好きなんだろう!?何よりもあいつを優先した。それは今も昔も変わりない。だから今さらどんな言葉をどれ程並べ立てたとしてもお前の全てが本当だなんて思えるわけがない。怒鳴って涙さえ見せた。大嫌いだ。お前なんて大嫌いだ。命を天秤にかけられ るお前を、迷うことなく俺の命を奪ったお前のたかだか言葉ひとつ、なぜ本心などと自惚れられる。冗談じゃない。俺はそこまで愚かじゃないんだ。叫び声の中 に混じるか細い声が聞こえないわけがなかった。だのに思考回路は停止し、言葉ひとつ口にすることもできず、立ち去る背中に手を伸ばすこともできず。違うん だ。違う。全然違うんだ。違う。お前は何一つ本当のことを知らないのだ。あの時、己が何を考えていたのかを。あの時散らしたのはお前の命だけではないのだと。どうして伝えることができる。伝えられるわけがあるまい。殺したお前の後を追ったみっともない自分をどうしてお前にさらけ出すことができよう。だから言えなかった。止められなかった。そしてまた、喪った。嗚呼、いったい何度巡れば辿りつく。
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