忍者ブログ

silent home

「 手折って、死にたい 」

[PR]

2025.01.21 Tuesday 15:01

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

手折って、死にたい

2010.10.04 Monday 22:54

書き溜めから発掘した仏英。
雰囲気SSもいいところ。
超絶短いし会話文もないし、何故かずっと仏視点だけど最初は西視点のつもりで書いてたんだぜ、とか言い訳しながら投稿する。


手折る事は容易いのに、指に刺さった毒で命を落とす、ような。
手折れば一緒に死んでしまう。でも、一緒には生きられない。酷いジレンマ。一緒にいたいと願う心は、すぐにドロドロとした黒に塗りつぶされて、視界は真っ暗。何も見えない。聞こえない。ただ、この身を焼き突き上げる感情に身を委ねて、堕ちる。落ちる。
手折ることは容易いのに、指に刺さった毒で命を落とす。剣を突き刺したのに、この身は硬質なものに穿たれていて、ゲホッと音を立てて口からは赤くドロッとしたものが溢れ出して、むべもなく。けれど哀しいかな、死なない。まだ、死なない。
白い頬を汚す赤を拭えば、痛々しい傷口が姿を現すと言うのに、自分も相手も死ぬことはない。意思は関係ない。己が死にたいとどれだけ願っても、この身は死を知らない。この身を求める人がいる限り、何度この華の毒に触れても死ねない。何度も死なず死ねずの争いを繰り返して、今もまだ隣に並び立つことが不思議でもある。
可憐という言葉が全然似合わない。性格も歪み切ったその華が、未だに夜中にうなされて飛び起きることを知っている。背中に嫌な汗をびっしょりとかいて、悪夢に苛まれて目覚めると、いつも震えて、いて。
その身体を抱きしめてあやす。薄い華奢な身体は簡単に手折れてしまいそうだと、いつも思う。こうやっていつか来る死を待つより、いっそ、この手で手折って、指に刺さった毒で命を落とすことが出来ないだろうかと、時折夢想する。

PR
COMMENTS
TITLE

NAME

EMAIL

HOME
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字 PASS
COMMENT
PREV  - MAIN -  NEXT

忍者ブログ

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

つなビィ

booklog

twitter

カウンター

フリーエリア

OTHERS

Powered by [PR]
Designed by TABLE ENOCH