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「 いつも同じ気がする 」

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いつも同じ気がする

2010.12.07 Tuesday 17:55

最近、帰宅する→原稿を見る→うぎゃあああああ!となる、を繰り返しています。美坂です。
今日は鼻の調子が悪いなーと思っていて、寒い所為かなーとか思っていたら不意に、昨日薬を飲み忘れたことに気付きました。
阿呆か、という話です。

原稿はどっかで言った気もしなくないけど、吸血鬼の話。
悪友英と銘打っておきながら、結局ただの西英じゃねぇかと諦め始めた今日この頃。
私ってギルッツ派なんですが(どうでもいい情報)、ギルッツはパッと想像できても不憫ズがCPしてる姿がいまいち想像できなくて、恋愛の斜め下の関係な気がします。どないやねん。
西英に燃えていた頃(ノット誤字)ではないので、色々冷静に見ちゃって己の原稿にうおおおおお!!となってしまうのです。
あ、萌える意味じゃないです。何だこれ畜生滅べ‼の方です。

今回頁の都合とかでR指定なしの全年齢対象でいこうと思っているのですが、どうなんでしょう。ニーズの話。
こればっかりはニーズがさっぱり分からないので、というかそもそも私なぞの書く西英というマイナーすぎる小説を読んでくださる方がいることも、大概予想外だったのですが。
自分の気分が乗ってうおおおおおって状態にならなかったら、多分書きます。
(エロよりにっさまの戦闘シーンの方が切実に書きたい美坂)


金髪碧眼に白い肌。世で美しいと称されるものを持った男は(少し美的センスに欠ける部分はあるものの)、豪奢な椅子にふんぞり返り、紅い液体に満ちたグラスを眺めていた。

「……くだらない」
 男は手にしていたグラスを床に叩きつけた。ぱりんと小さな音を立ててグラスは砕け、紅い液体はどくどくと毛の長い絨毯に吸い込まれていく。どろどろとどくどくと吸い込まれていく液体から視線をはがし、憂いを帯びた瞳で鉄格子の外を眺める男へと足を踏み出した。
 アントーニョは思う。この男でなければならない理由なんてなかった。ただ、どうしようもない窮地に陥って、たまたまそこにいたのが彼だったから、救いを求めた。選ぶしかなかった。生きるためには。
 これを運命だと人は、神は言うだろうか。笑える。
「折角の極上の供物やったのに、勿体な」
 椅子の腕に膝を乗せて、緑の瞳を見下ろす。
「なら、お前が飲めばよかったじゃないか。好きだろ? 生娘」
「冗談。俺はそんなもん喜ばへんよ。どっかの変態と違って」
 薄い唇に指を這わして、女王様のご機嫌を伺う。けれどすこぶるよろしくないようで、今にも噛みつかんばかりにこちらを睨み上げていた。
「…別に俺は、お前やなくてもよかった」
 突然に呟いた言葉に、男は微かに目を見開いたが、やがて酷薄な笑みを浮かべる。
「知ってる」
「……お前でない方がよかった」
「…知ってる」
 残忍な男の唇に己のそれを重ねる。ほんのり血の味がする気がした。気持ち悪い。
 恋し恋しと鳴いているのに、愛し方を知らない。本当は慈しみたいのに。不器用だから、思い通りにならない。滑稽。それはただの言い訳。茶番劇のシナリオ。
「お前なんて、はよ死んでまえ」
 吐き捨てるのに、愛しさの滲んだ言葉で彼を喜ばせる。
 こんないかれた女王様より、愛しく可愛い子がいるのに、契約に縛られたこの身は自由にならない。それでもいつか終わりが来る。彼も自分もそれには確信がある。そして、自身が最期にこの腕に抱くのは彼ではないのだ。
 有効期限付きの主従契約。感情なんて焼いて捨てればいい。
「―――」
「―――」
 それでも二人とも、同じ言葉を音もなく呟いて、唇を重ねる。このままお互いの吐く息だけを吸い続けて、死んでしまえば、と子供のような妄想。
 形にならぬ想いに身を焦がされるのは、はたして。

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