※ロク刹、ロクティを前提にした感じの刹ティぽいもの
こうなることを刹那は予想していなかった。絶え間なく響く銃声のひとつが、先程まで仲間と呼んでいた人のものであるなんて考えたくもない。けれど、『彼』の性質を考えれば、これもまた道理か、と諦めがよぎる。
だから刹那は動いた。銃撃音の切れ間を縫うようにしてバリケードを突破し、見開かれた瞳と瞳の間に銃口を押し付けた。
「俺が殺せないとでも思ったか」
話しかけるというよりは自己満足の呟きだった。乾いた破裂音が響き、癖のある茶色の髪がふわりと宙を舞っても、刹那の心は乾いたままだった。
やがて気づけば銃声は消えていた。助かったではなく、終わったのだと思った。疲弊していた。
ふと、刹那の隣に足取りの覚束ない少年が並んだ。彼は感情の抜け落ちた面持ちで床に転がる死体を見下ろし、ただ、両の赤い目から涙をこぼした。声もなく、しゃくりあげることもない。彼はきっと、今自分がどんな状態にあるかわかっていない。
細い肩に触れると力を失ったからだが、腕の中に落ちてくる。
「大丈夫」
すがり付くような手の上に自らのそれを重ねる。その手はもう震えてはいない。
「また創ってやるから」
二人はただ逢いたかった。もう一度逢いたかった。そのためなら、彼はどんな禁忌を犯すことも辞さないし、刹那は神の顔に泥を塗って創造主を騙ったとしてもかまわなかった。
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