あまりも書く時間がないので小ネタをぽつぽつと
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実物を見たのは初めてだった。何度か本の中で見たことのあったものではある。それでも本物は圧巻だ。
それはサクラという名の花だった。春に咲く花で、この花は散り際こそが美しいのだと、ある本には書いてあった。
「どうした?」
問いかけられて初めて、刹那は今自分がひとりではないことを思い出した。こんな風に二人で買い出しに行くことが、久々だったせいもある。
ロックオンは不思議そうな顔をしつつ、刹那の視線を追って、ああ、と息を吐いた。
「すごいな。よく通る道だが、全然気づかなかった」
ロックオンはどこか呆けたように呟いた。
「お前がいなきゃ花を愛でようなんて思わなかったよ」
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