こねたこねた
思えばこの頃はまだソランでしたね。前回ミスったな
―――――――
仕事で怪我をすることは多くはなかったが、少ないというわけもない。怪我の手当ては自分でできたから、怪我をすること自体はたいして気にしていなかった。
ただ、怪我をして帰ると、ソランは形容しがたい顔をする。よく分からないが心配されているのだろうか。もしくは悲しいのか、怒っているのか。いくつかの感情が入り交じった表情に、しまったと思った。それから、こっそりと喜んだ。
怪我をして心配されるなんて、ずいぶん久しぶりの話しだ。尤も、今この局面で喜ぶなんてできないれど。
「もう少し自分の体を大事にしろ」
いつの間にか、怪我の治療方法を覚えていたソランに、くすぐったい気持ちになる。慣れない手つきで包帯を巻いていく姿を見つめながら、怪我したらいいことあるからなぁなんて子供みたいに思うのだ。
「何をヘラヘラしている」
案の定怒られた。
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