プレゼント?
ああ
何でまた急に
あの人にはいつも世話になっているから、何か返せないだろうかと思ったんだ
へぇ。まぁ多分あの人のことだから、その気持ちだけで十分だろうけど……それじゃあ、お前が収まらないんだろ?
頷く。そういえばこそこそアルバイトしてたなと思い出す
金は……よく貯めたなぁ
どんなものを選べばいいのか分からなかったから
どんなものにも対応できるようにって?
頷く
何かそういうとこティエリアに似てきたんじゃないか? お前
?
それはともかく、それで?どうするんだ
俺は物の価値があまり分からない。だから付いてきてくれないか
勿論いいぜ。なら明日辺りに市場に行ってみるか
市場に?
あそこは何気に掘り出し物があったりするんだよ
成程と頷く
折角の機会だから、俺も何か贈るかな
俺以上に世話になっているからな
単純に付き合いの長さもあるが、なぁんか引っ掛かる言い方だなぁ、刹那?
頬を引っ張る。ぺしっと払われる
強情だな。昔はもっと可愛かったのに
………
睨むなよ。今のお前も十分に色っぽいぜ?
褒められている気がしないな
何だよ。もっと素直に受け入れればいいのに。なあ?刹那
いい声。身震い。暗転
市場は今日も盛況だな
あの人は何が好きなんだ?
食事の好みか?うーん、あの人は基本なんでも食うからな。それが長生きの秘訣だとか言ってたし
…なくならないものの方がいいだろうか
思いがあれば何だって嬉しいけどな、俺は
……あ
ん? 小物屋? へぇ、随分凝った細工だな
全部うちで作ってますぜ。うちもその道では有名な金細工師なんですよ
へぇ
これは?
お兄さん御目が高いね。そこを押すと蓋が開いてね、二つあるネジの右の方を半時計回りに回してみな
やってみる。オルゴールが鳴り始める
お、なかなかいいんじゃないか?
………
これはかなりいい品でね。10000になります
なっ、ちょっと高くないか!?
何をおっしゃる。オルゴール付きの懐中時計なんて珍しいもん、ここ以外じゃ、手に入りませんぜ
けどなぁ、いくらなんでも法外だろ
まだそんな商売をしていたのか
げっ
お
ん?
アアアアアーデ様っ
ようティエリア
お久しぶりです、ロックオン
バーンズ。悪どい商法は止めろと言ったはずだが
いいやここれにはわけが…
言い訳は聞きたくない
おい、どういうことだ、ティエリア
…彼はうちと親交のある商家の者だ。一応取り扱う商品は一流なんだが、それをいいことに法外な金額を客に吹っ掛けるので、厳重注意をしていたのだが…
すすすすんません旦那様
明日からは別の者に店を任せる
そ、そんなぁ……
ところでティエリア。うちの子があれを気に入ったみたいなんだけど
ああ、あれはいい品だ。2000といったところか
だとさ、刹那
財布を見つめる刹那
ティエリア。出世払いは可能か
吹き出すロックオン。しかめっ面のティエリア
君は出世の予定があるのか?
どこでそんな言葉覚えてくるんだよ
ロックオン笑った後に
よし、ならここは俺と折半しよう。俺とお前の二人からの贈り物にしようぜ
…分かった
代金はその男に。あくまで今日は彼が店主だ
まいどあり…
不具合が出たり故障した場合は僕に渡してくれたら職人に修理を頼もう
ありがとう、ティエリア
妙に親切じゃないか
実は、先日紹介してもらった双子に会いに行ってきたんだ。あいにく店が休みで本人たちには会えなかったが、回りの評判も上々なようだった
それで機嫌がいいってわけか
ああ。後は本人達に会ってみなければ分からないが、ここまでは順調だ
ティエリアと別れて戻る。出迎えた執事に包みを差し出す
これは?
刹那が貴方に何か贈りたいって言うもんだから俺も便乗させてもらった
ここに来てからずっと世話になりっぱなしだから、感謝の気持ちを表したいと思った。受け取ってくれないか?
受けとる
…身に余る光栄です
開けてみてくれ
開ける
時計が狂ってきたと言っていたから。役立ててほしい
よく見てるな
……後……いつもありがとう
いいえ。私の方こそ、本当にありがとうございます。刹那様
刹那の満面の笑みに本当に嬉しそうに笑う老執事だった
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