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超個人的ブログ。注意事項は必読です。

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2個下とリンクしてる話(ニル刹)

2011.07.14 Thursday 02:17

 ぬくもりを、一度知ったら戻れなくなる。失うのが恐くなる。だから自らの手でそれを封じた。もしも、この手が再びぬくもりを知ってしまったら、手に焼きついたぬくもりが邪魔になって、トリガーを引けなくなってしまうような気がしたから。誰かにとってのぬくもりを、自分が今度は奪うのだということを、少なくとも理解はしていた。
だけど、泣くのだ。大切にしたい子供が泣くのだ。何で泣くのかと優しく訊ねてみても、軽くちゃかしてみても、あの子は一向に答えようとしなかった。それなのに、まるで涙が流れていることなど気付いていないかのように、ほろほろ、ほろほろと無表情に声も泣く、涙を流し続けたのだ。嗚呼きっと、この子をこんな風に泣かせてしまったのは自分のせいなのだと、気付いた。けれど気付いたところで何もしてやれるわけがなかった。他人を拒絶している自分が、この子に何をしてやれるだろう。
やわらかく、けれど強めに噛みつかれた指の感覚は、なかなか抜けなかった。消えなかった。それはとても困ることだった。何故ならあの子が噛みついたのはトリガーにかける指で、この指が動かないことには無駄弾ひとつ撃ちだすことはできないのだから。
訓練ならまだしも、それは実践だった。幸いにも、一度撃てなかったことが何か大事に繋がることはなかったが、それはミッション内での話。心には重いものが圧し掛かった。ここで止まってはいけない。立ち止まってしまったら、いったい今まで何の為に誰かの大切な人を殺し続けた来たのか分からなくなってしまう。立ち止まれなかった。けれど、進みづらかった。
彼が部屋に泊っていった日。甘い空気なんて皆無なのに(そもそもこの子供にムードだ何だ期待する方が無理だ)、抱き合って眠った日。いつものように、狭いベッドの上で2人眠っていたのに、真夜中を過ぎたあたりで目が覚めた。そうしてふと隣を見たら、あの日のように、その子はほろほろと、声もなく泣いていたのだ。この子の涙を見るのは、これが2回目だった。
感情さえ滅多に表に出さない人間が、2回も泣いている姿を見たら、よっぽど何かが哀しいのだろうと嫌でも分かる。そしてその原因は自分にあるだろうことも、分かる。分からない程鈍くはなかった。たとえばこれが、アレルヤのように鈍感だったらよかったのだろうか。それとも、ティエリアのように冷徹であったらよかったのだろうか。そのどちらでもない、ロックオンはどうすればいいのか分からず困り切って、そっと少年の涙を拭ってやった。そして、目にとまった。
嗚呼、そうだ。これが彼を悲しませるのだと、気付いて、ぎりっと奥歯を鳴らした。
臆病者だと罵られて、否定もせずにただ肯定した。自覚はあった。触れるのが恐いなんて、失うのが恐いなんて、臆病者以外の何者でもない。少し前ならば、皆お前みたいに強くないんだとでも言っただろうか。今は言えない。この子の涙を見たら、言えなくなった。
グローブを外すと外気に触れた皮膚が少し寒気を感じる。快適に空調が効いた部屋であっても、空気は冷たく感じる。一度手を握りしめてみる。自分の指の感触。熱。
一度じっと自分の指を見下ろして、暗がりだというのに手相さえ見えるのではないかと思うくらい、穴が空くくらいじっと見下ろして、ようやく持ちあげた。そして、触れた。涙の跡が残る頬に触れた。やわらかい、とか。あたたかい、とか。そんな、何でもないような感想が頭のなかにぽつぽつと浮かんだ。
まるでぐずる子供をあやすように撫でてみる。指に伝わる感触。温度。幸福感。
そう。ニール・ディランディはどうしようもなく満たされていた。嬉しかったのだ。再び誰かのぬくもりに触れられたことが、あろうことかそれを拒絶していた張本人が喜んだのだ。
あったかい。ほっとする。生きている。傍にいる。感じる。深いところで感じる。ぬくもりを感じる。
「……っ」
うっかり込み上げてきたものを呑みこんで、かき消すように首を振る。ダメだ。泣いてはいけない。この子を拒絶し泣かせた自分が、被害者面して泣いてはいけない。そんな権利はない。
再びグローブをはめた。厚手のグローブの下で、まだ彼のぬくもりがてのひらに貼りついていた。予想以上にそれは厄介なものだった。
これ以上触れていたら、離せなくなる。放れられなくなる。進めなくなる。やっと、本当にやっと手に入れることができたぬくもりが忘れられなくなって、どうしようもなくなってしまう。だから、だから、もう一度ちゃんと触れるのは全てが終わった後に。彼の前で、こんなもの引き裂いて、そして、受け入れよう。すべて。
だからそれまでは赦してくれ、と、まるで懺悔するように、そっと少年の目尻に唇を寄せる。そこはもう乾いていた。
この手でちゃんと触れたなら、この子はどんな顔をするのだろう。その時は気障ったらしく指輪でも贈ってみせようか。その身を一生束縛するために。年甲斐もなくはしゃぐ自分を笑いながら、穏やかな寝息を立てる子供の体を抱き寄せた。
そんな日を夢見た。永遠に来ない日を、夢見た。










――――――――――――――――――
2個下のより明るい話を目指した結果、蛇足部分を考慮すると、大変な鬱になりました。
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↓の蛇足

2011.07.14 Thursday 01:48

「兄さんのあれは、家族が殺されてからだな」
5年近く経って、そんな話を聞くとは思わなかった。あの人は俺と同じ顔をしているくせに、妙に神経質で、そして臆病で、強かったよと、彼は言った。そんなこと知っていると、切り捨てることはしなかった。そうすることで、彼と自分の繋がりの深さと、溝の大きさを思い出して、またあの日のように酷く胸が痛むような気がしたから。
「自分の領域に入れたものは凄く大切にする人だったから。大切なものをつくらないようにして、そうやって、傷つくことから逃げたんだろうな」
「それはただ臆病なだけだ」
思わず口を突いて出た言葉。彼の弟は、彼と同じ顔で目をまるくして、それもそうだ、と薄く笑った。
「でもな、人間っていうのは弱い生き物だ。皆、お前みたいに強くないんだよ」
強い、と言う。彼と同じ顔で、彼とは違った笑い方をする男は言う。彼もまた、同じ言葉を言っただろうか。強い、と。刹那・F・セイエイは強い、と言っただろうか。
ありえない。強いわけがない。本当に強いなら、さっさとあんなものさっさと引きちぎっていただろう。そのことに彼が怯えても傷ついても構わない。全てを蹴破ったその後に、自分が彼を癒してやる、それくらいの芸当をやってみせたはずだ。だからそれが出来ない自分はきっと、彼と同じくらい弱い生き物だったのだ。

臆病者(ニル刹)

2011.07.14 Thursday 01:23

 何で泣いているんだ、と彼は言った。何がそんなに哀しいんだ。お前が泣くなんて、何か変だな。そんな言葉を並びたてた。そして自分は、自分が泣いていることにさえ気付かなかった。ただ、決して踏み越えることのできないボーダーラインを引きちぎりたくて仕方がなかった。

スナイパーである彼は手指を冷やさないようになのか何なのか、ミッション外でも常にグローブをつけている。それこそ水を触る時か、シャワーを浴びる時以外、外したのを見たことがない。まるで、他人を拒絶しているように見える、とある人が淋しそうに言っていた。
彼はよく、触れてきた。頭を撫でたり、肩を叩いたり、背を押したり。けれど彼の温度を感じたことは一度も無かった。厚いグローブが、相手の熱も己の熱をも遮断して、決して触れあっているとは思えなかった。
好きだと言われたことがあったし、恐らく恋人同士がするであろう行為をしたこともあった。それでも一度だって、直に触れられることはなかった。
一度、あまりにもそれが苛立たしくて、隙を突いて奪い取ってやろうと思ったことがある。完璧な死角から奇襲をかけたのに、ミッションを成功させることはできなかった。がら空きの背中にタックルを喰らわせることはできても、その手からグローブをはがすことはできなかった。まるで接着剤で貼りついてしまっているかのように。まるでそれさえも彼の体の一部であるかのように。
貴方は他人を受け入れるふりをして、拒絶しているのですね。そう、仲間の1人が言った。とても哀しそうに言った。落ちた沈黙にその仲間は踵を返し部屋を出て行き、重い空気の中で2人だけが取り残された。
彼はどこか冷めた瞳で、己の手を見下ろしていた。
「何故、外さない」
直接的に訊いたのは、これが初めてだったかもしれない。以前のミッション時に何でこんなことをするのかと笑いながら問い詰められたが、適当にはぐらかしたから。本当にこれが初めての問いかけだったのかもしれない。
「手を、冷やすわけにはいかないだろ」
予想通りの言葉が返された。違う。そんな建前が聞きたいわけじゃない。
「あいつの言う通りじゃないのか」
「……ティエリアの?」
グローブから視線を上げて、振り返った彼の瞳はわずかながら戸惑いが浮かんでいた。その瞳に揺さぶられるように、心の深いところで何かが燻ぶる。
「お前は拒絶しているんじゃないのか。あいつを、仲間を、そして、俺を」
言葉を重ねるたびに、酷く痛む場所があった。鳩尾の辺りがきゅうとなる。薄く開かれた唇から、何かがこぼれ落ちることを恐れるように。酷く、酷く、痛んで、違和感を生んだ。
「………………別に、そんなつもりはないよ」
笑った。この期に及んで、彼は笑った。薄っぺらな、吐き気がするような笑み。込み上げてきた怒りにまかせ、素早く足払いをかけて長身を床に叩きつける、その上に馬乗りになって片手を床に縫いとめ、片手を、彼の利き手を掴んだ。
「…っ、はっ……は……」
呼吸が荒い。何故だ。別に激しい運動をしたわけじゃない。これくらいのこと、軽くやってのけられるはずなのに。息苦しい。
「刹那」
呼ぶ、声の、冷たさに、呼吸はもっと荒くなって、どこかはもっと痛くなった。それでも退きたくなくて、負けたくなくて、彼の利き手の人差し指に歯を立てた。力を込めて引き上げれば、呆気無くグローブは外れる。
刹那、と先程の彼の声が頭の中に響いて、動きを止める。動けない。動けない。動けない。どうして。
この手からグローブをはがすことに、いったい何の目的があったのだろう。今更になって自問する。
呼吸が荒い。耳の中で鼓動が高鳴る。痛い。痛い。痛い。心臓が痛い。胸が痛い。心が痛い。
彼が頑なにつけ続けるグローブをはがすことに意義があったわけじゃない。その手に、裸の手に、触れたかった。触れられたかった。拒絶されたくなかった。他の人たちと同じように、線を引かれたくなかった。彼の中の特別で在りたかった。自分の中で彼がそうであるように、そう、させられたように。触れられたくない領域の中に踏み込んで、蹂躙して、存在を植えつけたかった。そんなこと、できるはずがないのに。これを剥がしたって結局は、彼が自らの意思で踏み越えない限り、線は消えずにそこに横たわるのに。
「………ごめんな」
数々の言葉を並びたてた後に、彼はぽつりとそう言った。もう、自由に動けるはずなのにそうしなくて、押し倒された格好のまま、ガラス玉のような瞳でただこちらを見上げていた。
彼はもう二度と、その線の中に誰かを入れることはないのだろう。
「臆病者」
「ああ」
「臆病者臆病者臆病者」
何度も何度も罵った。呪いの言葉のように繰り返した。
自分とて、受け入れてほしいと言ったことは一度だってないのに。









―――――――――――――――
昔書いた、『裸のてのひら』とは対になる話。

タイトルは焔(仮)だったはず

2011.06.11 Saturday 00:31

何だかんだで1ヶ月かけてプロット作ったオリジ小説。
携帯小説の中でマイブームな王道学園ストーリーの脇役主人公もの。総受けと見せて実は全然そうじゃなくて、プロットの段階でも最終的に個別ルートが3,4本くらいしか作れなくてビックリしたよ。
とりあえずプロローグ。数溜まってきたらその内サイト内でぽこっと別館作るはず。分からん。
プロローグだけどプロローグじゃないよな、と結末まで頭にある人間は思いました。

Q.何でオリジだよ
A.最近オリジしか書いてなかった。

Q.何故曝したし
A.更新できなくてむしゃくしゃしてやった。

プロローグ 『アルビノ』

そんな、日常

2011.06.06 Monday 00:34

ふと思いついて。
21歳と29歳ならこれくらいいけそうです。限りなく誰って状態だけどもー!!
平和そうです。もしかしたら現代なのかもしれません。当社比で甘めの仕上げです。
ニル刹の…朝チュン…? 何か違う?? でもそんなん←

月2更新!をかかげて結局一ヶ月が経ちました。
まァでも仕方ないよ。先週一週間ほぼずっと寝込んでたしな!
それ以外の三週間は何しとった言う話です。有言実行が出来ない女美坂です。情けない。

and more...
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